おいしいコーヒーに“雑味”がないってどういうこと? クリーンカップの意味と見極め方【Qグレーダーが解説】
コーヒー好きの方なら一度は聞いたことがある言葉、
「雑味がない」「クリーンな味わい」。
でも実際、「雑味って何?」「どうやって判断するの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Qグレーダーの視点から「クリーンカップとは何か?」を、わかりやすく解説します。
これを知れば、もっと繊細にコーヒーを味わえるようになるはずです。
◆ そもそも「クリーンカップ」とは?
SCA(スペシャルティコーヒー協会)の評価基準のひとつに、「クリーンカップ(Clean Cup)」という項目があります。
これは直訳すれば「きれいなカップ」、つまり「飲んだときに不快な味や香りがない状態」を意味します。
もう少し踏み込んで言うと:
→ 雑味・異物感・濁りがなく、フレーバーの印象がクリアに感じられる状態
です。
コーヒーの液体が透明かどうかという見た目ではなく、味覚・嗅覚での“透明感”が問われるのがポイントです。
◆ 「雑味」とは何か?よくある誤解
「雑味」=「苦い」「酸っぱい」と思っている方も多いですが、それは少し違います。
苦味や酸味は、豆のポテンシャルや焙煎・抽出によってポジティブにもなる味です。
一方で、雑味とされるのは以下のような風味です:
・ゴムっぽい、焦げたような匂い
・生豆のままのような青臭さ
・カビっぽい、地下室のような風味
・金属的、薬品的なニュアンス
・ベタッとした舌残りの不快感
これらは、欠点豆・劣化・過抽出・精製ミスなどによって生まれます。
◆ クリーンカップが高評価になる理由
なぜクリーンであることが重要視されるのでしょうか?
理由はシンプルで、“コーヒー本来の個性”が邪魔されずに伝わるからです。
たとえば:
・エチオピアの華やかなフローラル感
・ケニアのベリー系の明るい酸
・パナマのゲイシャのようなジャスミン香
こういった繊細な風味は、雑味があると一気にかき消されてしまいます。
だからこそ、カッピング評価でも「クリーンさ」は高得点の重要なポイントなのです。
◆ 家でもできる!クリーンさを見極める3つの視点
プロの現場でなくても、家庭でのテイスティングでもクリーンさの感覚は鍛えられます。以下の3つに注目してみてください。
① アフターテイストに注目
後味に残る“いやな感じ”があるかどうか。
「なんか残るな…」と思ったら、それは雑味のサインかもしれません。
② 舌の奥に重たい感覚があるか?
舌にベタッと張りつくような口当たりも、雑味の一種。
クリーンなコーヒーは後口が軽やかで、余韻も心地よいのが特徴です。
③ 香りと味の印象が一致するか?
「香りは華やかなのに、味は妙に渋い」
そんな“ズレ”があるときは、クリーンさが損なわれている可能性があります。
◆ まとめ:クリーンカップは「透明な味の土台」
コーヒーの味わいは、いわば一枚のキャンバス。
その背景が濁っていたら、どんなに美しいフレーバーもぼやけてしまいます。
クリーンさとは、味のキャンバスを真っ白に整えること。
その上に個性豊かな香味がクリアに乗るからこそ、「おいしい!」と感じられるのです。
◆ Qグレーダーからのひとこと
「雑味のないコーヒーを選ぶ力」は、味覚の精度だけでなく、焙煎・抽出・保存の知識も必要です。
でもまずは、“心地よく飲み終われるか”という感覚からスタートしてみてください。
コーヒーは、クリアであるほど奥深い。
そんな味の透明度にも、ぜひ注目してみてくださいね。