インフューズドコーヒーの“境界線”——それでも、コーヒーと呼びたい理由
「美味しいけど、これは“コーヒー”なの?」
初めてインフューズドコーヒーを試飲してもらったとき、ある常連のお客様がぽつりとそう仰いました。
カップから立ちのぼるのは、明らかにラム酒の香り。
でも、一口飲むとその奥には、コロンビア由来の明るい酸と、ジューシーな甘みが確かにある。
私たちは、数ヶ月前からラム酒を使ったインフューズドの実験を始めました。
コーヒー豆をラム酒に10日間漬け込み、さらに20日間かけて乾燥させるという工程を試みました。カップからは甘く華やかな香りが立ち、まるでデザートワインのような余韻が広がります。
しかも、驚いたのは“コーヒーらしさ”も失われていなかったこと。
ボディ感、酸の輪郭、甘みのグラデーション──そのどれもが、コーヒーそのものでした。
香りの“足し算”ではなく、“共鳴”を目指して。
風味がケンカしないように、焙煎度や抽出のプロファイルを何度も調整しました。
それは「遊び心」ではなく、むしろ“真剣な実験”でした。
確かにインフューズドは、クラシックなコーヒーとは一線を画します。
でも考えてみれば、ナチュラルプロセスやアナエロビック(嫌気性発酵)も、最初は「邪道」と言われた存在。
サードウェーブの登場でさえ、かつては「革命的すぎる」と賛否両論でした。
じゃあ、どこまでが“コーヒー”で、どこからが“別物”なんでしょう?
その境界線は、案外、外側にあるのではなく、
“飲む人の中”そして”情報の透明性”にあるのかもしれません。
私たちはこう思います。
「この一杯が美味しいと思えたなら、それはきっと、あなたにとって立派なコーヒーです。」
コーヒーの自由は、まだ始まったばかりです。
パペルブルグでは、ラム酒インフューズドコーヒーを使用した2種のアレンジドリンク「ラム・ヴェール」と「ラム・スパーク」をご提供しております。
どちらも、夏の午後にぴったりの爽やかな一杯です。
心地よいひとときを過ごしに、ぜひお立ち寄りください。
